会社や新聞、ニュースなどで以下の様なことを聞いたことがありませんでしょうか?
「ROEやROAの向上が大事だ」
「これからはROE経営だ」
ROEをネットなどで検索すると、以下の様な式が出てきます。
『ROE(%) = 利益÷ 自己資本× 100』
「定義としては何となくわかるけど、結局何で大事なの?」
「普段の工場の仕事とどういう関係があるの?」
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ本資料をご一読下さい。
工場での出来事がどの様にROEやROAに結びついているのかを解説していきます。
本資料の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。
1.工場全体のプロセス
2.関連する3つの指標
3.ROEの分解
4.ROEとROAの関係
5.ROEと生産性
製造業では、建屋の建設や機械の購入など多大な資金が必要となります。日常的に当たり前に工場にある工作機械も、会社自身のお金、または銀行からの借入金などによって購入されています。まず、工場全体はどの様なプロセスから成り立っているのかを大きな目線で考えてみましょう。
まず、建屋建設や機械購入のために資金が必要です。代表的な資金として、自己資本または銀行からの借入金があります。
次に、集めた資金によって建屋建設、機械購入などの投資を行います。
次に、購入した機械によって製品が作られ、顧客に販売されて売上が発生します。
発生した売上から原価を差し引いた残りが利益となります。
以上のプロセスを図示すると、以下の様になります。
どのような工場であっても先ほどの基本プロセスは変わりませんが、その内容は工場ごとに様々です。
・資金について自己資本と他人資本(借入金等)の内訳は?
・購入した資産からどの程度の売上が発生しているのか?
・売上高に占める利益の割合は?
それぞれについて、以下の様な指標があります。
①資産を取得するための資金を調達する
財務レバレッジ(%):総資産÷自己資本×100
(=自己資本比率の逆数)
②資産を売上に変える(生産性)
総資産回転率:売上高÷総資産
③売上を利益に変える
売上高利益率(%):利益÷売上高×100
今、ROEの定義式を以下の様に分解してみます。
上記のように3つに分解したとき、実はそれぞれは先ほどの各指標と一致します。
ROEと似たものに、ROAがあります。定義式は以下の様に「利益を総資産で割ったもの」であり、これも分解できます。
ROEの式も上記に合わせて示していますが、上記で示す様に、ROAに「総資産/自己資本」(上記①)を掛けたものがROEとなっています。
工場でよく言われる言葉に「生産性向上が大切だ」というものがあります。ROEと生産性はどのような関係があるのでしょうか?
もう一度ROEの式を確認しましょう。
ここで、上記式中の②に注目してください。実は、この指標が生産性を表します。どういうことか具体的に見てみましょう。
例えばある工作機械があって、製品を1日で100個製作するとします。改善活動の結果、同じ機械で1日に150個製作できるようになったとすると、上記②について、分母の総資産は同じで分子の売上高は増加します(※単純化の為、作れば作っただけ売れるものとしています)。
よって生産性は1.5倍となり、上記②の値も1.5倍となります。その結果、ROEも増加します。
このように、「生産性」とはある意味ROEの構成要素の1つであり、互いに密接に関わり合うものとなっています。